《India》

ケンタッキー・フライドチキン(KFC)
撮影場所:カルナタカ州バンガロール、
No4, Brigade Road

Chikin Tikka Roll 50Rs

ケンタッキー・フライドチキン(以下、KFC)の1号店は、インドでもっとも洗練された都市 Electronic City といわれる、バンガロールの新市街にある。

マクドナルドに先駆けて、バンガロールのKFCは、中上流階級の携帯電話を持つインド人のたまり場になっている。KFCは、開店以来、何度かヒンドゥ民族主義者らによる焼き討ちにあっているので、警備が厳重である。

セットメニューのコンボでは、最低金額が75ルピー(1997年2月、一般的な食堂では定食が15-20ルピー程度)。客は食べ終わっても自分ではトレイを下げず、係員が後始末をしてくれる(日本・韓国などを除くアジア圏共通)。フライド・チキンは、何種類かあるが、マサラ味もある。チキンは日本よりプリプリしていて美味しいが、味付けはイマイチ(かな)。


(2006年12月)

バンガロールのKFC

ヒンドゥ教諸団体とケンタッキー・フライドチキン:インドは、精神世界(ヒンドゥ教)を重視する傾向が強いため、物質主義の欧米を小馬鹿にし、排除する傾向にある。ゆえに、ヒンドゥ教系諸団体や保守層の影響力が根強い。

西欧文化の象徴ともいえる外資系企業は、インド企業との合弁を義務づけられ、しかも排斥の憂き目にあっている。1977年には、合弁のインド企業に60%の出資をねだり&技術移転を要求されて撤収した IBM とコカコーラ社、1989-1990年にペプシコ(ペプシコーラ)とカーギル社(種苗)である。


(1997年2月:バンガロールのKFC)

ケンタッキー・フライドチキン(KFC)襲撃事件:1995年6月、バンガロールに、開店した《KFC》1号店は、保守系農業団体の攻撃を受けた。この団体は、ヒンドゥ教系カルナータカ・ラジャ・ライタ・サンガ KRRS(Karnataka State Farmers Association:指導者は過激なヒンドゥ民族主義者Nanjundaswamy教授)で、彼らはバンガロール市当局に対し、KFCの食品検査を要求した。

当局はすぐさま、「有害添加物であるグルタミン酸ソー ダ(MSG:いわゆる味の素)の含有規定基準量1%どころか2%を越えている」として、営業許可を撤回。KFCは一時営業停止にも追い込まれた。もっともKFCは、すぐさま中央政府に陳情し、「中央政府の食品検査機関による検査結果が出るまでは営業を続行してもヨイ」となった。

KRRSの表向きの要求は下記の通り。真意は「多国籍企業の排除:Quit India」にあるらしい。

・コカコーラ、KFC等の外国資本の導入は、インドの経済を侵略し、インド固有の文化を損なう。

・KFC等のジャンクフードは栄養バランスが悪く、化学調味料を多用している。これを食すると、インド国民(ヒンドゥ教徒)の身体を害する。ヒンドゥ宗教観では、身体の調子=自然との調和、となるため、身体に調和しないジャンク・フードは、穢れたもの=不浄な食べ物、となる。

1995年秋から、ヒンドゥ教系のインド人民党(BJP)の大物政治家と手を組む。「外国資本のファーストフード店の排除」運動を展開。これが功を奏してか、バンガロールのKFCは、再び裁判所から「閉店命令」を受けた(前回と同じ判決文)。バンガロール店の閉店名命令を受けて、デリー店(10月20日開店)も営業許可を取り消された(11月6日)。

1995年12月、インド中央政府は「インドの経済発展の為には、多国籍企業の誘致は必須」の立場から、有害添加物であるグルタミン酸ソー ダ(MSG:いわゆる味の素)の含有規定基準量を引き上げた。これにより、バンガロールとデリーのKFCの閉店命令は取り消され、営業を再開する。

翌年1月に、バンガロールのKFCに対して、先のKRRSメンバー約60人が店舗を破壊する事件がおきた。いざこざを嫌ったデリー店は3年後には閉店してしまった

2004年の総選挙で、ヒンドゥ教系インド人民党が大敗すると、多国籍企業の進出ブームが再燃する。The Financial Express(2006年2月22日版、http://www.financialexpress.com/fe_full_story.php?content_id=118355l Yum! says flu won’t affect KFC revival plans
によれば、KFCは2005年内に、南インドを中心に9店舗をオープンさせた。2006年2月には、一度は撤退したデリーに再オープンした(今度はスィク教徒が多く住むRajouri Garden地区)。

KFCは2006年度、デリーを中心に全国展開して、店舗数を25に増やす意向とか。







ヒンドゥ教徒にとって食事は、自分の体を通して神へ食物を捧げる《宗教儀式》であり、自分の好き嫌いで食事をすることは出来ない・・・ことになっている。


1995年9月〜1998年2月時:1Indian Rupee(INR) =3.4〜3.7 円
2002年1月時:1INR =約2.9 円
2007年1月時:1INR =約2.7 円


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