《Islamic Republic of Pakistan / Islami Jamahuria Pakistan》

ナン
撮影場所:ペシャワール、専門店(店頭売りのみ)

北西辺境州地方の主食は、ナン(タンドリー壺で焼いた小麦粉の発酵パン)。南部〜東部でよく食べられるインディカ米は、おかず扱いとして食べる、ようだ。

ナンは、中国西部〜中央アジア〜西アジア〜北西インドなど、中高地地域で食される《平焼きの半発酵パン》のこと。ウルドゥ語圏〜ペルシア語圏などでは《ナン》naan と呼ぶ。

パンを焼くための燃料となる薪など、資源が乏しいこれら地域では、《タンドール壺》という、少ない火力を遠赤外線で補う、いわゆる「オーブン」のような壺を考案した。タンドール壺は、作業のし易さから、半地下につくることが多い。

ナンの大きさ・厚さなど、地域によっては違いはあるものの、基本的には同じ製造工程のもの。パキスタン以東では、1〜1.5cmほどの厚さのある小型のナンが好まれる。生地の表面に筋をつくり、引っ張って繊維の筋をつくり弾力性のある触感を楽しむ。甘めのものがおおい。

パキスタン以西では、クレープの皮のように薄い大判の柔らかいナンが好まれる。肉類など総菜を、保温を兼ねてこのナンに包み、肉汁を吸い込んだこのナン共々食べる。

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ナン屋

ナンの焼き上がりの厚さは、約数ミリ〜2cm弱。重さは50gくらい。形は円形や草履形など色々で、地域によって異なる傾向にある。インド北西部では「しずく型」が多いが、パキスタンの東部では小型の円形が多い。パキスタンの北部辺境州では大判の円形。イラン〜中東ではわらじ型か大判のクレープ皮タイプ、湾岸諸国では小型の薄型円形…などなど様々。

ナンの基本的な作り方:

(1)精白した小麦粉、または、ふすま(皮の屑)入りの小麦粉に、「水・ヨーグルト・卵・生乳・ギー(バター)・砂糖・塩」などを入れて、叩き付けながら練って生地をつくる。

(2)練り上げた生地を約30分ほど、自然に半発酵(イースト菌を加えて半発酵させることもある)させる。半発酵したら、小分けして丸めておく。

(3)小分けした生地を円形の座布団のようなものに、A4サイズ程&5mm程伸ばして張りつけ、これを「タンドリー壺」の内側に張り付けて、約1分間焼く。

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ペシャワールのナン

ペシャワールのナン屋のタンドリー壺もイランと同じく、半地下にある。いわゆる掘りコタツのような感じ。出来たてのナンは素晴らしく香ばしく、おかずが不要でバクバク食べられる。ナン2枚で食パン1斤に相当とのこと。

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麦は、冷涼な気候を好むイネ科の穀物で、やや荒れた中高地でも育つ。ナンは、小麦の原産地とも言われる「肥沃な三日月地帯」が発祥の地とされているそうだ。肥沃な三日月地帯とは、チグリス&ユーフラテス川両岸地帯(主に現イラク)でメソポタミア文明の中心地。

紀元前3,800年ころから麦類を食べ始め、紀元前3,500〜3,600年頃からパンを作り始めたらしい。








1997年04月のレート: 1 PKR =2.95 円
2000年10月のレート: 1 PKR=2.20 円
2002年01月のレート
1 PKR=2.41 円


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