こんなもののみました(チャイ)@トルコ

《Republic of Turkey / テュルキエ・ジュムフリイェティ》

トルコは、世界第五位のお茶の生産国

国際茶業委員会(英国)の資料によると、1998年のトルコのお茶の生産量は、日本の約2倍(18万トン)にもなる。トルコでは輸入茶は0.5トンしかない。トルコ人は日本人の約2〜3倍の茶を飲んでいる計算になる。

お茶っぱは、チャイクールという財団(国の管轄下)が製造・販売を手がけている。

チャイ
撮影場所:イスタンブール、バザール内での出前

独特のガラスコップは《チャイバルダック》という
チャイ1杯20円弱!

トルコの紅茶

19世紀後半、イギリスによってインドからトルコに入ってきた、らしい。

しかし紅茶を飲む習慣はさほど根付かず、もっぱらコーヒーを飲んでいた。トルコではコーヒー豆は生産されていなかったため、コーヒー豆は輸入に頼っていた。 だが、1970年代後半から豆の値段が高騰したため、廉価な紅茶が飲まれるようになった。

トルコの紅茶の主な産地は、リゼ(北部、黒海沿岸)。

まず1882〜92年に、イスタンブール郊外ブルサに、《日本の紅茶の木》の種子を播いた。この天然の紅茶の木は、日本では戦前まで栽培されていた種のものらしい(日本の天然の紅茶の木は、グルジアにも植林されている)。だが、ブルサでは木が順調に育たなかったため、日本と気候と地質が似ている、温暖なリゼに移したところ、生産に成功した、らしい。

リゼの茶畑は、日本の茶畑に非常によく似ている。リゼ周辺では黒海ぎりぎりにまで茶畑が広がり、製茶工場の巨大な煙突が目立つ。

茶の語源

紀元350年頃、中国では茶の栽培を開始する。日本への伝来は9世紀前後。ヨーロッパへの伝播は1610年(オランダ、緑茶)が初めて…とされる。1721年にイギリスの東インド会社が紅茶の輸入権を独占。1839年にスリランカ、1924年に東アフリカで紅茶の栽培が始まった。

チャ系統:広東語(中国)
陸路、15世紀以前(大航海時代以前)に海路で伝播
日本/朝鮮語(茶)、ポルトガル語(cha)、ロシア語(chai)、ヒンディー/ウルドゥ語(caay)、ペルシャ語(chai)、アラビア語(shay)など

テー系統:福建語(中国)
オランダ・イギリス経由で茶を輸入、両国の植民地
オランダ語(thee)、英語(tea)、フランス語(thé)、イタリア語(té)、ドイツ語(tee)、スペイン語(té)、スリランカ語(they)、南インド諸国語(tey)など

パキスタン〜イラン〜中央アジア〜トルコでのチャイは、《サモワール》を使って濃く出した紅茶を、お湯でわってのむ。まず、サモワールに水を入れて沸かす。サモワールの真上にお茶っぱ入りの大きいポット(濃い紅茶が出来ている)を乗せて(サモワールから発する熱で)加熱する。湯煎みたいなもんですね。

お茶の注文が入ると、上の濃い紅茶ポットから、濃い紅茶をグラスの半分までそそぎ、下のサモワールから湯を残り半分そそぎ、薄める。いわゆる《紅茶のお湯わり》ってヤツです。

トルコの家庭では、サモワールを小型した《チャイダンルック》と呼ばれる2層式のポットで入れる。下のポットに水を入れて沸かし、蓋代わりの上のポットで濃い紅茶を作る。電気式のチャイダンルックが主流。

お茶《チャイ》は、基本的にはストレートで出される。茶托に角砂糖を添えてあるので、好みに応じて甘さを加減する。

お茶っぱは、英国人やインド人が好むアッサム種ではなく、日本のお茶木の改良版。味は淡泊、渋みはほとんどない。羊料理に実に合う。

イラン人やアラブ人は、チャイをちびちび飲むが、トルコ人は、がばがば飲む。家庭でも職場でも商談でも「まずはチャイを1杯」となる。

トルコでもチャイ専門店があり《チャイエヴィ》と呼ばれる(エヴィ=家。シルクロードで使われるチャイハネのハネ=家、で同じ意味)。屋外の喫茶店は、チャイの庭という意味の《チャイバフチェシ》と呼ばれる。

チャイエヴィは男の社交場。女性はまずいない。
昼は老人だらけ。モスクでの昼の礼拝が終わると客(老人)が集まりだし、夕方の礼拝まで居座り続ける。1杯のチャイで2〜3時間粘るのが普通。夕方以降は、仕事帰りの男で賑わう。

チャイエヴィには、バックギャモンやトルコ式麻雀をおいていることが多く、客は熱中する。また水煙草をおいていることもある。

ロカンタ(庶民的なトルコ伝統料理屋)でチャイを頼むと、チャイ屋から出前が来る。この場合、チャイの代金は、ロカンタに支払い、ロカンタからチャイ専門店に代金が渡される仕組みになっているようだ。

チャイ専門店の出前は、絨毯屋や服屋などでの商談でも使われる。お客と売り手が、チャイを飲みながら腹のさぐり合いをする。チャイの代金は店側が持つ。









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