《Belize》
中央アメリカのカリブ海沿岸に住む黒人は、一般にガリフナもしくはブラック・カリブと呼ばれている。そもそも彼らは、自分たちのことをガリナグ族と呼ぶこともある。ガリフナは、カリブ族と西アフリカ地域からの黒人奴隷の子孫にあたる。 カリブ族は、南アメリカの先住民族(アラワク族)で、彼らはアラワク・インディアン語を話す。もともとベネズエラのオリノコ川周辺のジャングルに住んでいた、と言われる。10世紀頃からカリブ諸島にも定住したが、やがてスペイン人など欧州系人種に土地を追われ、ドミニカとセント・ビンセント島にしか残ることが出来なかった。 (キーカーカーにて) * 記録によれば1635年、西アフリカ沿岸諸国出身の黒人奴隷を運んでいたスペイン船が、セント・ビンセント島近くで難破した。生き残った奴隷達は、カリブ族に助けられ生き延びた。そして、もともと島に住んでいたカリブ族と生き延びた黒人奴隷との間で混血が進み、ガリナグ族(今のガリフナ族)が生まれた。 ガリナグ族はアラワク語を話し、フランス人との交易ができたドミニカとセント・ビンセント島に残っていた。 1795年、イギリス人入植者が「さとうきび農園」を始める為に、セント・ビンセント島を制圧し始め、ガリナグ族の奴隷化を企む。ガリナグ族約5,000名は、貿易相手のフランスと組んで、徹底抗戦を行うが、32年後に敗北。 イギリス人はガリナグ族の奴隷化を諦めたが、生き残った約2,000名のガリナグ族を捕らえ、黒人奴隷と共に、ホンジュラスのロアタン Roatan 島に強制移住させて放置する。 やがてガリナグ族は、ロアタン島からホンジュラス(本土)のトルヒーヨ Trujillo へ移り、ここからベリーズ〜ホンジュラス〜ニカラグアのカリブ海沿岸に定住した。結局、ガリナグ族(今のガリフナ族)は一度も「奴隷」になることはなかった。 * (ダンリガにて) ガリフナ族の総人口は、約30万人。ほとんどがホンデュラスのカリブ海沿岸に住む。生活慣習は、アマゾンの民族(ベネズエラなど)に似ている面があるが、踊りや音楽の演奏方法、その他芸術的なもの、宗教は、西アフリカの影響を色濃く受けている。
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