《India / Bharat》

サドゥ(ヒンドゥ教僧)
撮影場所:ウッタル・プラデーシュ州ヴァラナシ

サドゥさんたち御一行

全裸で灰を塗っただけの人、衣服を着込んだ人まで様々。
いづれも髪や髭は伸び放題

サドゥとは解脱を求めるため、世俗を捨てた遊行(一処不住)のヒンドゥ修行者、をさす。全てのものを捨てて、物乞いをしながら遊行する。自己を極限まで追い込んで、全ての観念が消え去ったサマーディに達することを目指す。一般的には、ヨーガ(神と一体化、サマーディに達するための行為)を行い、死期を迎える頃、ヴァナラシなどの聖地にいき、静かに死を迎える。

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サドゥになるには、3つの債務(ダルマ、カーマ、アルタ)を弁済した者だけがことが出来る。つまりサドゥは、ヒンドゥ教的にはエリートである。ただし一般的にはヨーガの修行者が多い、らしい。

サドゥになるには、ヒンドゥ教徒(上位3カーストの再生族、バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ)の親からうまれた「男児」でなくてはならない。この子供は産まれた瞬間からヒンドゥ教徒を有す者である。女性とシュードラ以下のカーストの男性は除外される。

ヒンドゥ教徒から産まれた男児は、一定年齢を迎えると、通過儀礼を経てヒンドゥ教徒となる。さらに神への3つの債務(ダルマ、カーマ、アルタ)を弁済した者だけが、「解脱への道」を歩むことが出来る。この「解脱への道」を模索する者が、サドゥである。

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ヒンドゥ教では、ヒンドゥ教徒の現世での人生を4つに区切っている

《学生期》
入門式(ウパナヤナ)で聖紐を受けて、学問(ヴェーダ)上の父を得ると、再生族の仲間入りをする。結婚するまで師についてヴェーダを学ぶ

《家長期》
帰家式を終えて、マヌ法典で決められた手順で結婚して家督を継ぐ。家長として決められた儀礼を行う=《ダルマ》神々への債務、宗教的・社会的な義務行為。さらに先祖代々の家督を継ぐ「男児」をつくることは義務である=《カーマ》祖霊への債務、宗教的・社会的な義務行為。家を繁栄させるため、決められた仕事に従事して成功させなければならない=《アルタ》実利

《林住期》
嫡男に家督を譲って、サドゥになるべく準備を行う。

《遊行期》
サドゥとなり、聖地を巡礼しながら聖地で一生を終える。サドゥとして人生を終えることは、理想の終焉の迎え方、とされる。


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