《Republic of Yemen / al-Jumhuriya al-Yamaniya》

イエメン系ユダヤ人
撮影場所:サナア近郊ベイト・ボウズ辺り

ユダヤ人がイエメンに移り住んだのは、紀元前586年といわれる。シバの女王が、イスラエルのソロモン王を訪問。多くのユダヤ人銀細工職工をイエメンに移住させた、とされる。

ユダヤ人が本格的に移住してきたのは紀元後。更にオスマン帝国が部分支配した時代にもユダヤ人の出入国があったようである。数万人のイエメン系ユダヤ人は、イエメンという陸の孤島のような国で、隔絶された生活を送っていたため、2000年前のユダヤの伝統の多くがそのまま残っいる。正統派ユダヤ教を守ってきた人々である。

サナア、サーダ、タイズなど大きな都市の近郊には、イエメン系ユダヤ人の部落がある。イエメン系ユダヤ人は、銀細工の職人が多い。彼らがつくった精巧な細工は、ジャンビーヤの鞘などに活かされている。

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イエメン系ユダヤ人のイスラエル(パレスチナ)への移住は19世紀末から始まった。1949年、建国間もないイスラエル政府は、イエメン在住のイエメン系ユダヤ人に対して「魔法の絨毯」と呼ばれるオペレーションを実行。飛行機(民間機)をイエメンに飛ばして、イエメン系ユダヤ人をイスラエルに移住させた。イスラエルで最も人気のあった実力派美人歌手OFRA HAZA(2000年2月死去)は、イエメン系ユダヤ人である。

だがイエメンには、現在も数千人(諸説あり)のイエメン系ユダヤ人が住んでいる、と言われる。写真のアムラン近郊の他に、北部のサーダにもイエメン系ユダヤ人のコミュニティーがある。

※イエメン系ユダヤ人は「平和共存」のための努力しているが、イスラエルによるパレスチナへの強硬姿勢で逆に「加害者」と位置づけられている。アメリカ(子ブッシュ政権)によるアフガン侵攻、イラク戦争で、反イスラエル主義者からの嫌がらせを受けるようになった、そうだ。

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レビ記19:27に記載されたとおり
「もみあげは切らない、髭の両脇も剃らない」

アメリカやイスラエルで見かける超正統派ユダヤ教徒 Chasidim は、1世紀ほど前に東欧諸国で流行していた独特の衣服(黒い長い上着、ミンクの帽子)を着るが、イエメンに住むイエメン系ユダヤ人は、イエメンのアラブ人同様、ザンナ(ワンピース)を着て、コート(背広)を羽織る。

しかし子供はユダヤ教徒の印である《キッパ》Kippahを被る。おっちゃんは、マシャッダ(頭布)を雑に巻いているが、その下にはポニーテールの頭髪が覗く。






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