《 Republic of Albania 》

トーチカ
撮影場所:全土

首都ティラナ付近で撮影

トーチカは鉄筋コンクリート製で、2〜3名入れる中型のものも多いため、容易に掘り出せないし、運ぶこともできないし、壊せない。捨て場もない。その為、トーチカを簡単な倉庫代わりにしたり、家畜小屋代わりにしたり、農作業の雨よけにしたりしている。中部のドゥレースでは、大型のトーチカを利用した「トーチカ・ホテル」もある。

中部パリット岬にあるドゥレース駅&港、付近

道ばたに放置されているトーチカは、ゴミ箱がわりにされている。
私が、トーチカの写真を撮っていると、「そんなにトーチカが珍しいのなら、何個でも持っていってくれ。何個でもプレゼントするよ」と言われた。

北部シェーンキン付近

ソ連型社会主義国家の独裁者エンベル・ホッジャ Enver Hoxha 大統領(1908-1985、在位1944-1985)は、1978年7月には中国との国交を断絶、他国との交渉を一切断ち、自給自足の「鎖国」状態に入る(〜1990年頃まで)。

これを決定する少し前、1976年、「外国(修正主義)勢力からの侵略の恐怖」を国民に訴え、アルバニア国民に、コンクリート製のトーチカ tochka(防御陣地、小型防空壕)をつくらせ、各家庭に設置させた。国民皆兵で全員が祖国防衛のために訓練に駆り出された。現在でもあちらこちらに《放置》されている。

このホッジャ大統領の《被害妄想》により、国民総出でつくった、コンクリート製の《トーチカ》 の数は、推定750,000個。集落の出入り口や幹線上、鉄道線路のポイントのところ、には勿論設置されているが、海岸線や国境付近の小高い丘にも、ズラ〜ッと設置されている。畑の中、牧草地にもある。

超越したアホな光景である。






2002年9月撮影


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