《Cambodia》

水上集落
撮影場所:トンレサップ湖、プノン・クロム村

この村落は「漁村」

水上集落は、高床式家屋や水上浮家、家舟で構成されている。

高床式家屋には、どの家にもテラスがある。このテラスが台所になる(火器は火災を防ぐため小舟でおこなう傾向にある)。壁は木材または竹を編んだもの、屋根は椰子の葉を編んだもの、トタン板が拭かれている

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乾季でも湖面の温度は30.5度、湖底は29度以上!

住居部分の窓は、木製の板で、跳ね上げ式になっている。家屋を支える支柱の木材は、4〜5m以上のものも少なくない。湖の水位の変化には、柔軟に対処する(つなぎ伸ばしたり、短くしたりする)。

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トンレサップ湖 Tomle Sap

インドシナ半島最大の湖で(増水期の湖面積では東アジア最大)、大小2つの湖で構成されている。湖面は、乾季・雨期により、その差は3〜4倍にもなる。乾季の湖平均推移1〜2 m/最大水位 3.6mだが、雨期には平均推移8〜10mにもなる。

湖流域に住む人々(全人口の4割)は、内水面漁業、養殖(乾季)に依存した生活を営んでいる。水上集落(漁村)は約170で、約120万人の専業漁民がいる(全人口の1割)。淡水域として世界第4位の漁獲高を誇る(2000年推定)

家は、高床式か水上浮家、家舟がほとんど、である。水位に合わせて年に何度か移動する。

そのため、水上集落ではほとんどの公共施設が水上にある。学校や役所も病院も警察署も、高床式家屋である。これら集落には、就学児童が多くいるが、就学率は学年を追うごとに生徒数が減少する。

浮き家

近年、住民の暮らしに大きな変化がみえる。

高床式家屋の中には、まだ高級品であるテレビを持つ家も増えた。観光産業(遊覧船など)からの現金収入がある家、養殖で財を成した家がある。

資金力のある華僑が新規参入。政府による入札制度の導入により「占有漁業区域」がつくられ、これらは華僑などの一部の有力漁民(大型漁場所有者=網元)に占有された。そのため網元に雇われざるおえなかった薄給の漁民も多い。貧富の差が拡大している。

湖に住む人々の急激な人口増加もある。カンボジア内戦時代に、ベトナム人漁民がトレンサップに入植してきた(両者は仲が悪い)。地元住民とベトナム人漁民・大型漁場所有者の対立が生じているが、政府には解決する能力はないようだ。

湖水は汚染が進み、生態系を破壊する外来魚も見つかる。乱開発(薪炭採取による浸水林伐採、農地開発など)の影響で、多量の土砂が湖に堆積し始めている。

また、貧困による短期的利益の追求で、過剰な漁業や不法漁法(火薬使用、バキュームで泥の中の魚を吸い取る方法、細かい網の使用など)が横行し、大型魚(大ナマズ、淡水イルカなど)が激減した。







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