《Arab Republic of Egypt》

スエズ運河 The Suez Canal
撮影場所:(地中海側)ポートサイド港〜(紅海)スエズ港

(朝9時頃)

スエズ地峡を横切る水平航行式海洋運河(堀割式運河)
(写真左がイスラエル方面)

年間約14,000千隻の船舶が通る、世界の海運の大動脈である

スエズ地峡(アフリカ大陸がアジア大陸につながる地点、砂漠と湖沼からなる平地)に、地中海(ヨーロッパ)〜紅海(アジア)を結ぶ海上交通の要路。単純な「堀割式運河」で造られているが、固い岩盤と周囲を埋め尽くす砂が工事を難しいものにした。

スエズ運河は、両サイドに家並みや緑も見える所もあるが、基本的には砂漠にある。

建設当初は、全長168km、幅22m、水深7.9mの狭小な運河だった(載貨重量5万トン以下級の船のみ)。現在は、全長162.5km、幅160〜200m、水深14.5mで複式通行可能(満載状態では15万トン級のタンカーの航行が可能)。

スエズ運河を使い、アジアからヨーロッパへ航海すると、喜望峰(アフリカ南端)経由にくらべて約7,400kmもの航海距離が短縮できる(1/3)、最短ルート。地中海と紅海の水面がほぼ同じ高さのため、水の流れがあまりない。

スエズ運河の航行は、1日に南行2回、北行1回のみ。航行時間はおよそ12〜18時間。夜間は通行できない。

スエズ港またはポートサイド港で待機していた船が「船団」を組んで進入する。航行中の緊急時に使うため、係留索などの運搬に使用するボートを積み込まなくてはならない(ボートマン付き)。通常、先頭はパイロットボート(水先案内人)、次に軍艦(米軍、エジプト軍など)、そして客船、貨物船の順になっている、らしい。

前後船間は約1.5マイル。10ノット以上の速力(時速約18km以上)を保って航行する。随所に「信号所」あって、距離維持チェックする。1日約50隻の船が通過する。運河の中間点にはビター湖があり、反対方向から来る船団と交差するため、一時待機停泊する場合もある。

※1ノット:1時間に1海里を進むスピードのことで、船の速度を表す単位。1海里=1.852km。10ノットということは、ノットの数値を2倍して、1割引すればだいたいの値が得られるため、時速約18km。

だがビター湖、カンタラ、イスマイリアの間には、バイパスが通っていて相互に航行できるように改良された。

スエズ運河の通行料金収入は、エジプトの4大外貨収入(スエズ運河通行料、観光、石油、海外労働者送金)の2割近くを占める。だが近年、高額の通行料金を嫌って、遠回りとなるが、喜望峰(アフリカ南端)経由ルートを選ぶ船が増えている(22,000トンの豪華客船「にっぽん丸」の通行料は1,500万円という噂)。更に、運河の水深維持のための毎年の浚渫費用が増大している。

2001年の統計では、スエズ運河の通行料は、世界の海運貿易の7%(年間19億ドルの外貨収入)を占めている。

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スエズ運河の横断は、

(1)渡し船(フェリー):主な航路は5カ所

(2)2つの橋
フェルダン橋(旋回橋/可動橋):スエズ運河には4つの橋が架かっていたが、第三次中東戦争(1967年)で全て破壊された。ベルギー・ドイツ・エジプトのJVによって、イスマイリヤにあった橋が2001年に復元された。鉄道・道路併用の橋。
ムバラク平和橋(斜張橋):Qantara 市近郊には日本の無償援助(鹿島・NKK・新日鐵のJV)で1998年に着工、2001年10月に開通。長さ730m、桁下70m(世界一)の橋。総工費約220億円。

(3)トンネル
スエズ市から12kmのアハマッド・ハムディにある。1995年10月に完成した自動車専用トンネル。だが施工不良で水漏れが激しく、内側に補強の板を張って対処している。大型車通行不可。

…の3方法がある。


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