《Romania》

国民の館 Casa Poporului
撮影場所:ブカレスト

とてつもなくデカイ

建物の規模では、アメリカ国防省に続く第2位!
(宮殿を囲む周囲(公園)は28万6000平方m)

ブカレスト随一の名所は、ブカレスト市内南西部3km、スピリの丘(海抜92m)に建つ巨大な建築物「共和国宮殿」、現在の名前は「国民の館」 Casa Poporului である(笑)。

チャウシェスク大統領夫妻は、危機的経済危機状態により国民は窮乏生活を強いられていた最中の1984年6月25日、“共和国宮殿”の建造に着手した。バッキンガム宮殿、エリゼー宮殿を凌駕する宮殿を望んだ。

スピリの丘には、16〜18世紀に建てられた7つのルーマニア正教会僧院があった。国民の反対を無視して、6つの僧院は取り壊され、最古のミハイ・ヴォダ僧院(1591年)はよその地へ移築した。まずルーマニア国軍は「スピリの丘」の地下に、地下要塞と坑道を建設する。

共和国宮殿建設に参加した建築家は約400〜700人、兵士を含む労働者は約2万人。1989年12月(チャウシェスク大統領夫妻の処刑)までの、統一大通り建設も含む総経費は推定16億ドル。

豪華な廊下(ほーんの一部)

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1989年12月25日、チャウシェスク夫妻が処刑された時は、第二層(450室)は完成されていたが、その他はほぼ未完成。共和国宮殿の全体ではなんとか7割が完成されていた。ルーマニア民主革命で工事は一旦止まったが、大多数の国民が「完成」を望んだため、「国民の館」と改称して、工事は細々と続いており、現在は全体の9割が完成されている。

完成された部分は、各政党のオフィスや会議場として使われている。ただ、維持費が莫大なので、大部分は閉鎖中。

豪華なロビー&階段(ほーんの一部)
総大理石製

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「国民の館」は、地上8階、地下5階建て。地上から尖塔までの高さは84m。延べ坪(家屋の床面積の総計)は約33万平方m(当初43,250平方m)。

館は第一層、第二層、第三層からなる。第一層(大統領執務室、2つの大回廊、各種会議室など)が一番豪華で、ここをメインに一般公開されている。

館内には、多くの意匠が異なる会議室、劇場、音楽室など、総計3107室がある。エレベーターは49基。大きなシャンデリアだけで28000個。掃除人は230人。チャウシェスク大統領夫妻の私的部屋はここにあった。そのため大統領の存命中、「国民の館」は《カーサ・チャウシェスク》と呼ばれていた。

使用建材は、ほぼ全てがルーマニア製。大理石(白、黒、ピンク、ベージュ、マーブル)、マホガニーなどの木材、シャンデリアのための水晶体などと、最高の素材が使われた。特にピンク色の大理石が好みだったらしく、産地の石脈が尽きるまで掘り出された。金や銀がお好みらしく、至る所に純金や純銀が使われている。食器など備品、衣服などは、欧米のブランド品ばかりであった。なんとも豪華絢爛。

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「国民の館」の正面には、パリのシャンゼリゼ通りを真似た、統一大通り (現在はBulevardul Unirii)がある。長さ2.8km、幅100m。だがシャンゼリゼ通りには距離が足りず、逆に幅6mも幅広になってしまっている。両脇には菩提樹が植えられ、中央分離帯には複数の噴水池を持つ緑地帯となっている。

通りの両脇には「政治行政センター」と称した瀟洒で豪華な8階建てアパートが建ち並んでいる。1階は商店となっており、上階は共産党員幹部と政府高官が住んでいた。今は全て一般庶民にも開放されている。ただこの通りは人通りも少なく閑散としている。また「FOR RENT」の文字があちこちにある。

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