《 中華人民共和国 》

明代様式のモスク《牛街清真寺》
撮影場所:北京、牛街

前門

北京では有名なモスク《清真寺》。通称《牛街礼拝寺》。北京市内の南西にあたる広安門内にあり、966年に建立された。北京で最大&最古のイスラム寺院で、清代に大規模な修復工事が行われた。

イランのハタミ大統領が中国を訪問した際、《牛街清真寺》にも立ち寄り、礼拝を行った。この寺の近くには、中国イスラーム教会(緑色のドームが3つ乗っている建物)や、回族の学校(回民学校)もある。

礼拝前に手や足を浄めるところ
(シャワー室やトイレも完備:男子専用)

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礼拝堂を横から撮影

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(明朝の建築物)

礼拝堂(本堂)の前にある省心楼と呼ばれるミナレット
楼は左右一対づつある


中国のイスラーム教徒の男性は《清真寺》、女性信者は、女性信者専用の《清真女寺》へ礼拝に行く。一日の礼拝は5回あるが、全ての礼拝をモスク《清真寺/清真女寺》で行う信者は少ない(礼拝はどこでやっても可のため)。

女性信者専用の《清真女寺》は《清真寺》の敷地内にあったり、少し離れたところにあったりする。《清真女寺》がない地域では、《清真寺》の礼拝所内をカーテンなどで仕切って使っている。

「牛街清真寺」のすぐ近くに、近代的な建物の「清真女寺」がある。北京では《徳外清真寺》も有名。カトリックの教会や、イスラームのモスクなどの宗教関連施設は、北京市街の中南部に集中している。

※イスラームは、七世紀頃、西方から中国に伝わった。現在、回族、ウイグル族など10の「少数民族」の人々に信奉され、信者人口は推定約1,800万人とされる。現在、中国全土にモスクが3万余カ所あり、モスクに帰属する聖職者イマム(男性)、アホン(女性)は、推定4万余人いる。

※「牛街清真寺」:宣武区牛街88号
※「徳外清真寺」:西城区徳外大街200号


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■回族

回族は、イスラーム(伊斯蘭)を信仰するイスラーム教徒(穆斬林)で、少数民族に分類されている。

13世紀以降、中国に移住してきたトルコ系・アラブ系・イラン系のイスラームを信仰する者、及びその子孫を中核に、《漢族との雑婚が進んだ=混血》の結果、形成された民族集団。言語は漢族とほぼ同じ、外見も漢族とほぼ同じ。

漢族と異なるのは、宗教はイスラーム、特定の地域に集住せず、固有の言語を持たない、かつ特定の民族集団に属さない人々、だけ。漢族と回族の慣習、明確な違いは「豚肉を食べない/中国廟に行かない/棺を使っての埋葬は行わない(箱子は再利用する)/金曜日を安息日(主麻)にあてる」こと。

北京にいる回族は、イスラームのスンナ派の一派の“ゲディム派”に属する。「内地回民」と呼ばれ、地理的にも漢民族文化を受け易い為か、顔立ちはほぼ漢族と同じ。

北京にはイスラーム教徒が18万人近くおり、一般公開されている清真寺(イスラーム寺院)が40カ所余りある。元代に建てられた東四の清真寺には、さまざまな「クルアーン」が収蔵されている。元代のクルアーン写本は、破損のない完全なもの。

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文化大革命時(1966年8月〜1977年8月)、激しい宗教弾圧があり、紅衛兵組織(毛沢東派)によってモスク《清真寺/清真女寺》は破壊されたり閉鎖されたりした。イスラームの教義では、信者は土葬に限られるが、文革時は火葬にされたこともある。宗教指導者(アホーン)は弾圧され、処刑された者もいる。1980年代になり、宗教活動は再開された。








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