《Canada》

Tuktoyaktuk の町
撮影場所:(極北 Nortwest Territories)着陸寸前の機内から

ツクトヤクツクの町
No dark in summer, no light in winter.

北緯69.4度、標高5m、人口約1000人の町。マッケンジー河の河口にあり、北極海沿岸の Kugmallit 湾に面している。北極圏ラインは北緯66度33分なので、これよりも北にある。北極海沿岸部では最大の白人の居住地(かつては植民地にしていた)である。

ツクトヤクツク地域一帯に、1,400個以上の小さな楕円形の丘がある。これは、永久凍土の下に溜まっている水が、凍結して地面を押し上げた凍上現象で、pingo と呼ばれる。ヤクートの言葉ではブーグニアフと呼ばれる。一番高いものは約60m。このpingo を見るために観光客がやってくる。

北極海

左の小高い山は、実は Pingo

Tuktoyaktukは、かつてTuktuujaqrtuuqと呼ばれていた。先住民族の Karngmalit / Mackenzie Inuit 族のベルーガ鯨の捕鯨基地だった。先住民族は20世紀初頭、アメリカの漁師が持ち込んだインフルエンザが大流行して、住民は1/10に激減してしまう。その後、Alaska Dene族がこの地に移り住み、北極海〜マッケンジー河の交易会社 Hudson's Bay(1928年)の設立で白人が移住。現在、住民の95%がイヌイットだが、混血はかなり進んでいる。石油・天然ガス開発/輸送業絡みで住む白人が、住民の5%を占める。

現在もここに住むイヌイットの生活手段は狩猟・罠仕掛け狩猟・漁業が中心。狂信的な自然保護団体の圧力もあり、狩りは制限された。制限とは1年間での狩猟頭数(北極熊やベルーガ鯨、カリブー等)とその狩猟方法。

連邦政府が運営する電力施設はあるが、上下水道の施設はないので、タンク車が町を行き交い、担う。コスト高ゆえゴミ処理場はなく、ゴミは分別されずゴミ集積場に“放置”されている。生ゴミにしても、気温が低いので微生物による分解はほとんどされない、とか。

主要道路は整備された砂利道だが、この砂利はカナダ南部から運んできたものゆえ、凄いコストがかかる。そのためか、脇道は整備されず、泥道になっている。

冬は平均マイナス30度位まで下がるが、夏は平均15度程度。白人は夏、海水浴をするそーだ。最寄りの都市は137km離れた Invik。イヌビック〜ツクトヤクツク間は、夏場は空路または航路でしか行けないが、冬は全てが氷るため、氷結道が出来て車が使える。6月から9月までは、北極海〜マッケンジー河を行き来する「定期平底船」便が運行されている。

ツクトヤクツクでは、American OilとGulf Canadaが石油開発を行っていたが、運営・輸送コストに見合わないため、現在は新たな開発は中止されている。また冷戦の終結で、レーダー基地に駐屯するカナダ軍兵士も激減した。

1960年代以降、イヌイット居住地にある地下資源(油田や天然ガス)に目を付けた政府(カナダ、アメリカ、デンマークなど)は、Inuvialuit Final Agreement で、土地保全や制限付き自治権、包括的な援助を与える代わりに、掘削権を得た。連邦政府はイヌイットへの様々な社会保障をおこなっている。連邦政府が建てた家は全家屋の7割。家賃は月35ドルだが、65歳以上は無料。

イヌイットの自給自足の生活様式は、欧米型貨幣経済に組み込まれた。だがツクトヤクツクのイヌイットの失業率は50%で就職先はない。食生活は激変し、元来あり得なかった成人病患者が蔓延している。

空港から町へ行く道に立つ看板





Home



参考文献







inserted by FC2 system