グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

Bath
The Roman Baths

ケルト人の信仰の対象にもなっていた温泉

約2000年前からある温泉浴場
(The Roman Baths)

http://www.romanbaths.co.uk/

ケルト人により信仰の対象になっていたとも考えられている古い温泉。ゲルマン古語のbath=入浴/風呂は、英語のbathの語源にもなる。

紀元43年にブリタニア(英国)へ侵攻したローマ帝国は、60年頃からローマ人は浴場と神殿=Aquae Sulis / Sulis Minervaを建設を始める。2世紀頃にはローマ帝国支配下での「温泉街」として発展した。だがローマ帝国の衰退、キリスト教の浸透とともに温泉施設は放棄された。

11世紀頃から温泉の治癒力が見直され、ベネディクト修道院が源泉を管理して、ハンセン氏病や天然痘患者の治療のために使った。サクソン人やノルマン人も病気治療のために温泉を使っていた。

ベネディクト修道院が解散させられ、温泉の管理はバース市が行う。

エリザベス1世(在1558〜1603)は天然痘に罹るが、バースの温泉に入浴することで痘痕は残らなかったという。温泉治療が注目され再開発が始まる。この時に kings Bath、Hot Bath、Cross Bath(冷泉)、女性専用風呂、ハンセン氏病専用風呂、馬専用風呂がつくられた。

さらに18世紀のジョージ3世時代に、温泉治療が確立された。王室および上流貴族の保養地になったため、荘厳な建物が建ち並んだ(ジョージアン様式と呼ばれ、バース市は世界遺産に登録されている)。

18世紀につくられた複数の公衆浴場は、1973年以降のバクテリアの大発生が問題になりつつも、1978年まで実際に入浴出来た。現在、入浴は、かつての公衆浴場を近代的にリフォームして再オープンした Thermae Bath Spa でのみ(2007年8月に完成)。

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ローマ人が建てた「神殿&大浴場」の説明
(現在はローマ浴場博物館=The Roman Baths)

東(右)の建物にはスチーム・サウナやサウナの施設が残る。西(左)の建物には冷泉浴場が残る。

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The Roman Baths 内の Great Bath

写真の右端奧に源泉池があり、水路を通って Great Bath に湯が溜まる。大きさは25m×16m、深さ1.6m。湯が冷めないように、底には「鉛」が敷き詰められている。

The Roman Baths

1727年にローマ式浴場の一部(神殿、女神像、風呂の遺構など)が発掘され、遺跡の上や遺跡を復元した複合建築が出来上がる(The Roman Baths)。だが Great Bath の遺構は6mもの地下に埋まっていたため発見されず。

1878年、ホテル建設の為に地面を掘り進めたところ、Great Bath の遺構が偶然に発見された。早速、余分な建物を取り除いて2000年前の姿に復元される。

ここでの入浴は不可。足湯は黙認(5分間、水路に足を突っ込んでいたがお咎めナシだった)。足はポカポカ〜になったよ。

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源泉池

源泉は透明だが、温泉藻の繁殖で緑色になっている

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温泉はこんな感じ

源泉池(左方向)から大浴場に注がれる湯の温度は推定43度くらい。源泉は45度。注ぎ込まれる湯量は少なめ。鉄分が多い。

ここで足湯を5分間。えらくあったまったよん。

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源泉池から大浴場に注ぐ水路

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源泉池

ケルト人により「信仰の対象」になっていたとも考えられている源泉池。温泉の取水口は地下にもう一カ所ある。神殿もここにあった、らしい。

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底からプクプクと温泉が湧く(矢印)

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屋内のローマ式冷泉浴場
(4世紀頃の作品)

何故かコインが投げ込まれている・・・

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温泉水路を張り巡らせて、温泉熱を有効に使っている

The Roman Bathsの遺跡はすごい。源泉の貯水槽、温泉熱を利用した床下暖房施設、マッサージ室にジム、脱衣室。熱い温泉(源泉池)、程よい温泉(大浴場)、冷泉、サウナなどなど。

当時のローマ人の技術水準は高く、よくぞこの時代に作りはりました。

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The Roman Baths を裏からみたところ

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正面にBath Abbey、右にPump Room

Bath Abbeyは1617年に完成した教会で、現在は英国国教会。Pump Roomとは、Roman Bathsに併設された鉱泉を飲む所で、かつての社交場。現在は喫茶店&レストランだが、鉱泉も「有料」で飲める。

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ローマ帝国統治時代のバース

ローマ帝国が去ると長い年月、浴場は放置された。

17世紀半ばのエリザベス1世統治時代に、温泉治療が注目され再開発が始まる。18世紀半ばには下水道工事中にローマ時代の遺跡が次々と発見され、 kings Bath、Hot Bath、Cross Bath(冷泉)、女性専用風呂、ハンセン氏病専用風呂、馬専用風呂が整備されたらしい。

■営業時間など

季節によって変わるが、概ね9時半〜18時(入場は17時)。夏は22時(入場は21時)まで。クリスマスと翌日は休み。

入場料:10£
日本語の音声ガイドあり。

場所・行き方
ロンドンから西へ約170km、ロンドンのパディントン駅から列車で1時間50分。グレイト・ウェスタン鉄道のバース・スパ駅下車。駅から The Roman Baths まで600m。
泉質など
源泉は3つ。源泉の温度は46.5度。湯量は1日あたり117万リットル。軽い硫黄臭あり。透明だが鉄分が多く粘り気あり。硫化カルシウム&ソジウムを主とする温泉らしい。
ロケーション:★★☆
上流貴族の保養地にある温泉なので、どことなく上品な感じ。
お湯のかんじ:★★
やや堅めだが粘り気がある。軽い硫黄臭がある。湯量多し。
全体のかんじ:★★
霊験あらたかな感じの温泉遺跡。かつてのようにここで入浴したいよん。



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2007年4月@入浴
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2007年4月のレート:1GBP(British Pound)= 238.89 JPY


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