《People's Republic of China》

馬桶は簡易便器、いわゆる蓋付きの樽形「おまる」のことで、基本的には奥様専用の簡易便器です。木製や陶器製・プラスチック製があります。馬桶は、江南地域−蘇州・杭州・上海などで愛用されている(みたい)です。

撮影場所:上海市豫園の南にある下町、馬桶(右)、おまる(左)
便器の形状:しゃがみ式

「馬桶」=樽型便器(左)
「おまる」=バケツ型便器(右)
素材:
木製
構え方:
中腰・腰掛け、向きは自由
尻の洗浄:
紙拭き式。(紙等はご家庭の都合)
排泄物の処理:
放置(→翌朝、汚物漕へ持参し捨てる)
隠蔽度:
(ご家庭の都合)
男女の区別:
女性専用(馬桶)、男女共用(おまる)
料金:
無料

「馬桶」は、漬け物樽のような形。

2cm程の厚さの板(杉など)を使い、中央部分が膨らんでいます。重さは1つ2kg程度。表面が「朱塗り」です。内側は底が黒で塗られていたりしているようです。材質や金具によって値段が代わるそうです。大きな蓋には装飾が施されたものもあるようです。

木製の馬桶は一生使える耐久性があり、かつては嫁入り道具の一つだそうです。だから一般店舗ではなかなか売っていない受注生産品だそうです。

※かつて嫁入りの際、馬桶の中に赤く染めた卵を入れて持っていったそうです。「誰にも見つからないように馬桶の中の朱卵を盗み出せれば早く嫁にいける」と信じられているようで、婚家の親戚の未婚の娘は、こっそりと馬桶がある部屋に入り、馬桶の中から卵を盗み出すという行事がある、みたいです。今ではすっかり廃れた風習。

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◆中国の古民居にはトイレがない所が多いため、未だに愛用されているのが「おまる」。「おまる」は室内の廊下や軒下に置かれているが、馬桶は寝室の一角にあるそうです。

◆早朝、奥様専用便器の馬桶や、家族が使った“おまる”のブツを「公共厠所横の汚水漕」に捨てて、竹製のササラで洗うのが日課です。昼過ぎまでは、軒先にこの馬桶・おまるがズラ〜っと乾かされています。

◆上海などの都会では、“糞便苦力”なる清掃夫(婦)がいます。糞便苦力は、家々と馬桶単位で月極契約をしています。糞便苦力は、台車を持参。毎朝、各家の軒先に置かれたブツ入りの馬桶・おまるを回収。公共厠所の汚水漕にブツを捨て、馬桶・おまるを竹製のササラで洗い、再び各家の軒先に戻す仕事を請け負っています。

田舎に行くと、糞便苦力は清掃作業を行わない代わりに、糞便漕をロバなどに牽かせて各家をまわり、馬桶・おまるのブツを回収します。

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■中国の古民居にはトイレがないという事情から、簡易便器が活躍します。室内の廊下や軒下に置かれている「おまる・夜壷(溲瓶)」などで一時的に用をたします。

■旅社などの安めの宿泊施設においても、共同トイレの部屋では「2個以上の盥 たらい」と「壷」が置いてあって、泊まり客は、ここで用をたすとのことです。壷はゴミ箱も兼用しているようです。





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