《Kingdom of Thailand》

タイトル:野良犬(首輪付き、半野良犬)
撮影場所:バンコク、ラマ4世通り

2006年5月撮影

猟犬っぽい雑種

(まるでアザラシ)


野良犬といっても「首輪」をしている犬は、soi(路地/横町)の住民が共同でエサを与えている部類の犬で、正確には「半野良犬」。エサは、住民が与える残飯。2001年現在、バンコクの路地に住む野良犬は10万頭(年間3万頭の飼い犬が捨てられる)。

※タイの仏教徒は、輪廻転生に基づいた仏教思想が根付いている。寺院や僧に寄進したり、弱者(お腹をすかした動物も)に食事を施したりする善行が積もり積もれば、輪廻からの解脱または来世では豊かになれる!と信じられている。そのため住民は、朝晩の涼しい時間になると、居着いた半野良犬に餌を与える。

タイでは、野良犬と言えども虐められる心配がないためか、日中は、少しでも涼しい場所(と言っても歩道)で堂々と、死んだように熟睡している。腹を上に向けて足をオッ広げて寝ている犬もいる。野良犬が活動を始める夜中はともかく、日中は吠えられることはまず、ナイ。実にのんびりと暮らしていやがります。

2000年頃までの野良犬は、痩せていて、皮膚病や狂犬病にかかっている野良犬が多かった。

2003年10月のAPEC(アジア太平洋経済協力首脳会議)開催前、バンコク都庁は、野良犬の捕獲と管理を計画して実行した。「首輪」をしていない野良犬は捕獲の対象(保護センター行き)になった。soiの住民は、日頃可愛がっている半野良犬に首輪を付けた。

※捕獲された野良犬の一部はタイ国軍が引き取り、救助犬などになるため訓練を受けている。2004年末におきたタイ南部の津波の被災地では、野良犬だった3匹の雑種犬が遺体捜索に活躍した。

バンコク都庁は、地域に密着した寺院で行う方が効果的だとして、バンコク都内の寺院340カ所に「野良犬仮診療所」を設けて、半野良犬の狂犬病予防接種と避妊・去勢手術を行った。手術を済ませた証として、耳を少し切り取り、殺すことなく地方の寺院に送られた。

※愛犬家のフミポン・アドンヤデート国王陛下は、「耳を切り取ることは残酷だ」と発言したため、現在はICチップを埋め込んでいる。

近年、ジャンクフードの食べ過ぎ等々で、デブなタイ人が増えたが、半野良犬もデブが増えた。タイ国民が敬愛する愛犬家のフミポン国王陛下が、野良犬収容施設を視察の際に貰ってきた(ちょっと賢いが普通の)野良犬 Tongdeng との物語 ("The story of Tongdeng")を出版したことが影響しているらしい(2003年)。

"愛犬家"の国王陛下の本に触発された多くのタイ国民の間で「野良犬ブーム」になり、野良犬収容施設に寄付したり、soiで飼われる半野良犬に、高カロリーのエサ(残飯だが)を与えまくったため、デブ犬が急増、痩せこけた犬は激減した。

なお戸建ての高級住宅地で飼われている(高そうな)犬は、敷地内で放し飼いされている。それでもストレスが溜まっているのか、やたら吠える。

※タイには犬の数に比べて、猫の数は極端に少ない。野良猫は日本でも見かけるトラネコが圧倒的に多く、シャム猫はいない。








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